【考察】ハクの振り向くなの意味は?トンネルの違いや髪留めが光る理由との関係は【千と千尋】

千と千尋の神隠し」の終盤、千尋が元の世界に戻る時です。

後ろ髪引かれ、想いも残す千尋に、ハクが「絶対振り向いてはいけない」と告げます。

約束をかみしめて、歩みを進め始めていく千尋ですが、様々な気持ちからか、やはり途中で振り向いてしまいそうになります。

ですがその時、銭婆がくれた髪留めがキラリと光ってくれたことで、改めて意を決して、歩みを進め、振り返ることなく無事に元の世界に帰っていきます。

この帰り際のやり取りの中や、描かれた映像の中に、様々な背景や思いが詰まっているようなのです。一つ一つひも解いてみました。

目次

千尋が最後に振り返っていたらどうなっていた?

もし千尋があの時約束を破って振り向いてしまっていたら、元の世界に二度と戻れなくなっていたのではないかというのが有力な見方です。

振り返ることは、未練であり、次のステップへ進むことのためらいです。

油屋での経験をもとにもっと成長していく千尋にとっては、断ち切らなければならない思いなのです。

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実際墓参りや送り火でも、振り向くと魂に未練が残りこの世とあの世をさまようのでやってはいけないという習わしもあります。

つまり、そんなに思いを残し、前に進んでいく勇気がないのであれば、油屋で一生暮らすこととなっていたかもというのは納得がいく説明ですよね。

もし仮に、人間の世界には戻れたとしても、そんなに過去に囚われてしまうようであれば、引っ込み思案で挨拶もろくにできなかった過去の自分に、再び戻ってしまったことでしょう。

また、油屋や過去の自分に戻るだけならまだしも、もしかしたら、トンネルにあったダルマのような石造に変えられてしまったのではという見方もあります。

確かに、千尋たちがトンネルを入っていくときも、戻ってきたときも、静かにそっと佇みながら千尋のほうを見ています

意味深なシーンですから、その可能性もあるかもです。

なんにせよ、振り返ってしまっていれば、千尋の成長はなかったはずです。

が、逆に言えば、たくさんの大切な経験によって成長した千尋ですから、

自分の浅はかな甘えだけで、振り返ってしまうことは、あり得なかったのではないでしょうか。

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行きと帰りでトンネルが違う?

気づかれている方も多いかもしれませんが、千尋たちがくぐったトンネルは、行きと帰りでは違うものになっています。

その証拠に、行きは、モルタル性の比較的新しいトンネルですが、帰りには、石造りでつたやコケにまみれた古びたものになっています。

ですが、父親の車は、止めたところに同じようにあったことから、場所は変わってはおらず、トンネルの雰囲気だけが変わっていたということになります。

これらから、千と千尋の世界をひも解くと、行きのモルタル性の新しい感じのトンネルは、神の世界への入口だったと思われます。

もっと言えば、父親が道を一本間違えて、鳥居の立つ大きな杉の木のところに出た時点で既に、神の領域に立ち入っていたのです。

鳥居は、神様のお住まいの場所の玄関のような意味ですから、その可能性は大いにあり得ます。

そして、帰りのトンネルはというと、現実の世界に戻る入口なので、雰囲気も変わり、古びた感じになっていたと思われます。

一見何十年も時が流れた後のようにも感じますが、別世界に行く前と後で、浦島太郎のように世界の変化に戸惑ったような流れはないので、時が経ったということはないようです。

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トンネルで千尋の髪留めが光った理由は

https://tlclip.com/1007

トンネルで千尋が、ハクとの約束を破って振り返ってしまいそうになった時、髪留めが光ったことで思いとどまることができました。

ほんの一瞬の場面ですが、そこにある、ハクや千尋の様々な思いを汲み取って、皆さんそれぞれの読み取り方をしています。

その内の一つは、ハクが湯婆婆に八つ裂きにされ、最後の涙を流したとき光ったというものです。

これは、湯婆婆が、坊が居なくなったことに気づき、ハクに「坊が戻ったら、八つ裂きにされる覚悟はあるか?」と問うと、ハクは「ある」と即答したことによります。

この部分から、ハクが湯婆婆によって、殺されてしまったと捉える方が多いため、都市伝説的に言われている話です。

それ以外にも、銭婆が言った「一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけでね」という言葉が、千尋の中でよみがえった瞬間に光ったというものです。

これは、ハクとは二度と会えないかもしれないし、記憶もなくしてしまうけど、心の中に刻み込んだ想い出は誰にも奪われないと千尋が確信できたためです。

だからこそ、振り向かず前に進むことができたとも言えるとした読み取り方です。

当の宮崎駿監督が言うには、「千尋が記憶をなくすことで全てが夢物語と思ってほしくなくて、せめて髪留めくらいでもと描いた」ようですから、あながち遠くない見解といえます。

まとめ

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全てを落とし込んだ、最後のこれらのシーンは、受け取るものそれぞれの解釈ができますが、それもこれも、千尋が油屋でとても濃い経験をしたからに他なりません。

突然、厳しい社会に放り出されて、自分で考え行動することでしか道を開いていけないとは、想像以上に大変なことですからね。

しかも、その過程で、色々大事な言葉や場面に出くわすことで、あんなに引っ込み思案だった女の子も「生きる力」を得ることができました。

実はこれは、バブル経済の後の困難な現実と絡めてあると言われていて、それを乗り越え、しっかり前を向いていってほしいというメッセージが込められているのです。

途中途中は様々な見え方をしていても、トータル的な芯の部分は一貫していて、それは受け取るこちら側にもきちんと届いていたように感じます。

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